11月12月は、弁護士とても忙しく、続編の投稿が遅れてしまいました。申し訳ございません。
今回は、アメリカのロースクールが定規、法科大学院を杓子として、杓子定規のお話をします。
アメリカには、法学部がありません。ですから、言わば未修者コースが原則です。日本の法科大学院制度も、実は、未修者コースを原則としているのです。既習者コースは、驚く事に、建前上、あくまで例外なのです。
非法学部系出身者が法曹界に入る事で「幅広い教養と専門知識」を備えた人材により国民のニーズを確保するという理想を政府は掲げました。

杓子定規①「適正試験は既修者コースでも必須」

未修者をどの様にセレクトして入学させるのかという事について、アメリカでは「LSAT」という法律知識無くとも解ける知能テストでセレクトしています。
日本も適正試験という知能テストみたいなシステムを採用しました。ただ、ベイスターズみたいな名前の文部科学省系の適性試験(DNC)と日本サッカー協会みたいな名前の日弁連系の適性試験(JLF)の二つが並立するという、なんともはや、判定材料として統一性の無いシステムとなったのです。
驚く事に、既習者コースでも、この適正試験を必須としました。既修者コースは、法律科目の入試がなされます。法律学的適性は、法律科目で判断されるのが妥当です。法律科目で判断できない、適性を見極めることが、適正試験で可能ということでしょうか。
 既習・未修コースともに、当初から、適正試験の有意義性は、疑問視されていました。まあ、知能テストに近いところがあるので、要領のいい者はいい点を取ります。いい成績を取る者は、司法試験にパスしやすいという傾向はあるでしょう。しかし、要領の良さと法律的適正はまた違ったものがあり、ロースクールの現場でも適正試験の結果と学生の質は、一致しないことが明らかになります。なんで、こんな無駄な試験お金(2万円強)払ってまで受ける必要があるのか?と当然、批判が投げかけられることとなりました。2016年文部科学省は、バツが悪くなり、適性試験を任意制にすることを提言しました。バカじゃない!?任意性?意味の無い試験をお金と時間使って受ける人いるの?大学側も一部の人しか受けていない試験を入学判定の材料にするとでもいうの?という声が上がったのは当然です。結局、2018年、適性試験の廃止が決まったのでした。 あー馬鹿らしや、馬鹿らしや、馬鹿らしや…
 法学部があり、法律的セレクトが可能な日本で、知能テストを受けさせるというナンセンス、そして、そもそも、知能テストも統一機関ではなく、知能テストと法律家の有用性は一致しないのは、普通に考えれば当然なこと。私は、受験時代、自分はアホだが、その分頑張ればいい!と言い聞かせてやってきました。その考えは今でも間違いないと思っています。

 さて、次回は杓子定規②として、大学制度のあり方が全く日本とアメリカでは異なる点に着目して書きたいと思います。