20代 学生
受傷部位:足関節内果骨折 頸椎捻挫、歯牙損傷、全身擦過傷
獲得等級:併合12級


 遠路、広島県の案件。学生が飲酒後、幹線道路反対車線から中央分離ブロックを超えて、タクシーと衝突し、大怪我を負う。現場は、片側2車線の幹線道路であるが、田舎であり、現場は、真っ暗という状況。タクシーの運転手にとっては、暗闇から、それも、中央分離ブロックを超えて人が来るとは思わないであろう。自殺の飛び込みに類する形態である。大きな過失相殺を覚悟しなければならない案件であった。
 治療費は、保険会社が一括対応してくれていた。広島の保険会社は、大阪と違ってかなり優しい感じがする。(実際は、当初、調査不足に過ぎず、事実関係把握した後、ミスしてしまったこと嘆いていた)大阪なら一括対応が拒否される可能性が高い案件である。
 怪我が大きいだけに、ご両親は、被害者感情が強かったが、過失割合、こちらの方が大きくとも言える案件であり、被害の賠償がかなり制限される可能性があることを説明。先ずは、たとえ、過失割合かなり主張されていいように、できるだけ過失相殺されない自賠責で高い後遺障害等級を目指す事に注力した。
 歯の後遺障害は、機械的に14級は確実であったが、歯の14級では、逸失利益もなく、過失割合を考えれば、僅かな金額にしかならない。
 顔面の醜状痕、極めて薄く、広さも微妙なライン。非該当との瀬戸際であったが、書面でのアピールは勿論、自賠責調査事務所の面談に当職同行し、調査担当者に無言のプレッシャーをかける。
 幸い醜状痕について12級を獲得することができた。
 これで自賠責224万円を確保。更なる請求には、過失割合が大きく立ちはだかる。しかも、男性顔の醜状痕は、逸失利益認められないのが原則(実際、傷跡のレベルもギリギリ認定されたレベルであり、誰も気に留めないレベル)であり、普通に考えれば、損害は自賠責の範囲内で更なる請求は到底不可能なところ。
 ダメ元で交渉をする。交渉は難航したが、若い男性が前歯折れて格好悪いでしょと粘り、最後は、理屈抜きの「弁護士にお土産頂戴」レベルの交渉となる。
 広島の保険会社は優しいですね。お土産付けてくれました。金額は言えませんが、保険担当者、かなり苦労されて数字作ってくれた。過失割合45%、逸失利益も無理矢理付けて、帳尻合わせてくれました。ご本人は、私と相手保険担当者の苦労を分かっておられないと思います。若者よ、お酒は飲んでも飲まれないように注意して、お酒を嗜んで下さい。